「海洋資源開発による新海洋産業創出に向けた、海洋の総合的な管理に関する研究」
本研究は、海底資源開発をサステイナビリティの文脈で進めるために必要な法制度、および「総合的な海洋管理」の制度設計に向けた基本的な方針の提示を目的とします(図1)。
本研究は、次の二つのテーマで構成されています。
テーマA《海底鉱物資源開発活動に向けた法制度の検討および法体系における調整》と
テーマB《海底鉱物資源開発活動に向けた社会経済的対応の検討》
それぞれのテーマでは、次のことを行う計画です。
テーマA《海底鉱物資源開発活動に向けた法制度の検討および法体系における調整》
- 海洋鉱物資源開発における国際的な海洋環境保全ルールに立脚する法制度の構築および提案をするために、わが国の現行法制(図2)を検討し、その課題を具体的に指摘します。
- 海底資源開発における、沿岸法制度の他海域区分(EEZ、EEZ外、深海底)への適用可能性の検討をおこないます。
- (1)海洋資源探査・開発に伴う海洋環境への影響評価についての国際的な動向や関連の実行の調査および検討
(2)海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する諸外国の関連国内規制の調査および検討、
(3)海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する日本における国内法整備のあり方の検討および提案をおこないます。
テーマB《海底鉱物資源開発活動に向けた社会経済的対応の検討》
海底資源開発について、次の3つについての手法を開発します(図3)。
- 既存産業の経済活動が受ける影響の評価手法
- 海洋生態系が受ける影響の社会経済的評価手法
- 海底資源開発の環境影響評価におけるコミュニケーション手法
最終的な目標は、サステイナブルな海洋資源開発を行うことができる新海洋産業創出に向けた国際/国内法体系ならびに社会経済的影響評価と合意形成過程のプロトコルを、従来のSIP研究の成果(生態系環境影響評価)と組み合わせることで、国際標準となりうる「総合的な海洋管理」のパッケージを提示することです。
この研究を通して、東京海洋大学学部・大学院教育においては海底資源開発に関する環境影響評価をおこなうことができる人材を育成し、また、海洋資源探査・開発および海洋の科学的調査に関する国内法整備に資するように努め、さらに、開発した評価手法を民間企業や地方自治体へ還元したいと考えています。
SIP東京海洋大学チーム(代表:川辺 みどり 東京海洋大学・教授)