戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代海洋資源調査技術 (海のジパング計画)

研究の目的

この地球上で人類未踏の領域である海洋。いま世界各地の海洋で、さまざまな海底鉱物資源を求める調査や探査がおこなわれています。
しかし、地球の表面積の7割を占める海洋について人類が知っていることは、まださほど多くはありません。
そんな未知の領域である海洋における開発に対しては、国際的な取り決めも国内法制度もまだ十分に整備されていない状況です。
また、海洋/海底資源開発(探査を含む;以下同様)がどのくらいの空間範囲の自然環境と生態系に対し、どれほどの不可逆的あるいは深刻な影響を及ぼすのか、そのとき人びとはどのくらいの影響を受け、またその影響をどう受容するのかは、これから現場周辺のモニタリングを重ねながら検討していく課題です。

不確実性が高い海洋/海底資源開発を人類共通のテーゼである持続可能性の文脈に沿って進めるにあたっては、あらゆる利害関係者の協働にもとづく《総合的な海洋管理 (integrated ocean management)》が不可欠です。そして、《総合的な管理》をおこなうためには、開発がもたらす便益のみでなく、自然環境・生態系影響評価(Environmental Impact Assessment: EIA) と社会経済影響評価(Social Impact Assessment: SIA)にもとづく、被害に不確実性を加味したリスクおよび費用とが、利害関係者が共有すべき情報として求められると考えます。

そこで本研究では、海洋/海底資源開発が持続可能性の文脈に沿って進められるために必要な法制度および海洋/海底資源開発がもたらすであろう社会経済リスクについて検討します。そのうえで「総合的な海洋管理」の制度設計に向けて基本的な方針を提示したいと考えています。その管理は、自然環境・生態系の状況(あるいは知見)の変化に柔軟に対応し、かつ、利害関係者の対話にもとづいておこなう、《順応的協働管理 (adaptive co-management)》になろうと考えています。

私たちは、こうした研究を通して、海洋/海底資源開発および海洋の科学的調査に関する国内法整備に資するとともに、国際社会で通用する社会経済影響評価の手法を示したいと考えています。
同時に、研究拠点である東京海洋大学において、海洋/海底資源開発にともなう社会経済影響評価をおこなう技能をもつ人材の育成につとめます。

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