戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代海洋資源調査技術 (海のジパング計画)

活動報告

東京海洋大学SIPプロジェクト 海の環境影響評価懇談会について

更新日:2017年3月21日

近年、鉱物資源やエネルギー資源を求め、海洋・海底の調査や技術開発がさかんに進められています。海洋開発の持続可能性を評価するうえで大きな役割を担うのが環境影響評価です。海洋環境生態系に関する知見の蓄積と同時進行的に開発が進められる状況下で、環境影響評価を含む、海洋開発にかかわる法制度の整備が喫緊に求められています。

ここで策定される海洋環境影響評価が国際的に通用するものであるためには、国際開発事業において要件とされる《社会環境配慮》の包含は不可欠です。では、海洋開発におけるステークホルダーは誰々で、考慮すべき項目は何で、その評価や実施をどのようにおこなうのか。こういった検討もこれからの課題です。

本懇談会は、海洋環境影響評価にかかわる社会科学的課題を官民学の連携にもとづいて共同確認することを目的とします。、海洋調査産業実務者の方々と一緒に、環境影響評価の各分野の専門家からお話を聴き、疑問を出し合うことで、海洋開発にかかわる海洋環境影響評価の実践における課題を明確にしていきます。

第1回は、2016年7月29日、環境省 水・大気環境局 水環境課海洋環境室室長補佐の森田紗世氏を講師にお迎えし、『海洋汚染等防止法(ロンドン条約議定書等担保法)における環境影響評価等について』、お話しいただき、海洋調査企業で環境影響評価の実務に就かれている方々、SIP事業ご関係者など、約25名にご参加いただきました。【第1回開催報告書はこちら

第2回は、2016年9月2日、㈱環境総合テクノス 取締役の石田和憲氏を講師に迎え、豊富な実務のご経験から、日本の海洋環境影響評価の実践における課題についてお話しいただきました。海洋調査企業で環境影響評価の実務に就かれている方々、SIP事業ご関係者など、40名にご参加いただきました。【第2回開催報告書はこちら

第3回は、2016年9月20日、千葉商科大学教授/東京工業大学名誉教授の原科幸彦博士を講師に迎え、国内・。国際的な環境影響評価の学識に加えて豊富な実務のご経験から、環境影響評価の理念、日本の環境影響評価の国際標準からの乖離、国際協力事業における国際標準の実現、事故発生に対する配慮などについて、2016年5月に名古屋で開催された国際影響評価学会(IAIA16)の紹介を交えてお話しいただきました。海洋調査企業で環境影響評価の実務に就かれている方々、SIP事業ご関係者など、31名にご参加いただきました。【第3回開催報告書はこちら

第4回は、2016年11月8日、㈱AECOMエリア統括マネージャーの大西梨沙氏を講師に迎え、世界銀行/国際金融公社やアジア開発銀行が融資対象とする海外の開発事業が適切に環境及び社会影響を配慮した形で計画及び実施されているかを確認/評価する、環境社会配慮※の確認業務にはどのような作業やプロセスが含まれるのか、また、どのようなガイドラインや基準を用いて実施されているのかについて、海洋石油、天然ガス開発等の例を用いてお話しいただきました。海洋調査企業で海洋環境影響評価の実務に関わる方々やSIP事業ご関係の方々など、25名にご参加いただきました。【第4回開催報告書はこちら

そして、最終回である第5回は、「ワークショップ 海底熱 水鉱床開発に際しての社会配慮を考える」と題し、「海の環境影響評価にかかわる社 会科学的検討ワーキング」の一環として、海洋大 SIPプロジェクトチームに加え、懇談会の講師4名 を含め、本事業にご協力いただいている外部関係者 の方々にご参加いただきました。海洋大SIPプロジェクトチームが用意したケース 「海底熱水鉱床開発に際してどんな社会配慮が必要 だろうか」(未定稿)をもとに、熱水鉱床開発のた めの社会影響評価をどう始めるのか、考えていただ くというワークショップの試行です。 テーブルでの話し合いと、それに続く発表に対する質疑応答では、たいへん貴重なご意見をいただきました。

今後は、本懇談会で明らかとなった社会配慮の具体的な論点に留意しながら、環境影響評価における社会経済的検討についてのプロトコルをまとめていきます。本懇談会にお付き合いくださいました方々には心から感謝申し上げます。【第5回開催報告書はこちら

JICA(2010)の『環境社会配慮ガイドライン』 によれば、「環境社会配慮」とは、大気、水、土壌への影響、生態系及び生物相等の自然への影響、非自発的住民移転、先住民族等の人権の尊重その他の社会への影響を配慮することをいう。

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